費用の未払い・収益の未収とは / Chapter6 決算

 前回は、当期に翌期の費用を支払ったり、受け取ったりしていた場合の前払費用と前受収益でした。
今回の費用の未払い・収益の未収は、今期の費用・収益が翌期に持ち越される場合の仕訳です。
しかし、考え方は前回と同じです。今期の費用・収益は、今期に計上し、翌期分は資産または負債の勘定で決算整理の時に仕訳を行います。

それぞれの資産・負債の勘定について、最初に解説します。

【未払費用】
 いずれ支払う費用で、当期支払っていないため、負債として決算整理で計上する。

【未収収益】
 いずれ受け取る収益で、当期受け取っていない。
将来受け取る権利があるため、資産として決算整理で計上する。

それでは、例題で確認していきましょう。
仕訳のアプローチは前回と同じです。

未払費用の仕訳

例題1~3を解いていきましょう。

例題 1

本日決算日。当社は、広告宣伝費が¥30,000が未払いとなっている。
この広告宣伝費は5月1日に現金で支払う予定である。


勘定科目

広告宣伝費、未払費用



解答
借方   金額貸方   金額
広告宣伝費30,000未払費用30,000

今期発生している広告宣伝費が未払いとなっている問題です。
従って、広告宣伝費を費用計上するため、費用の増加は借方に計上です。
そして、未払費用は将来支払う義務を負っているため、負債計上です。



例題2の続きです。

例題 2

翌期首、4月1日。再振替を行う。


勘定科目

広告宣伝費、未払費用



解答
借方   金額貸方   金額
未払費用30,000広告宣伝費30,000

再振替を行います。
従って、解答は、例題1の逆仕訳です。



例題3の続きです。

例題 3

5月1日。当社は広告宣伝費を現金で支払った。


勘定科目

広告宣伝費、現金



解答
借方   金額貸方   金額
広告宣伝費30,000現金60,000

広告宣伝費(費用)を支払ったため、費用の増加は借方仕訳です。
そして、現金(資産)が減少するため、現金を貸方に計上します。



未収収益の仕訳


例題4~6を解いてみましょう。

例題 4

当社は、令和2年1月1日、得意先に¥100,000を年利4%で貸付、利息は来年の令和3年1月1日の返済日に現金で受け取る。
但し、利息は月割りで計算する。


勘定科目

現金、貸付金



解答
借方   金額貸方   金額
貸付金100,000現金100,000

今回の問題は、通常の貸付金の仕訳です。
将来お金を受け取る権利である貸付金は借方に仕訳を行います。
現金は貸し付けた分減るため、貸方計上です。



例題4の続きです。

例題 5

令和2年3月31日の決算日。利息は月割り計算で行う。


勘定科目

未収収益、受取利息  (未収収益は未収利息でも可)



解答
借方   金額貸方   金額
未収収益1,000受取利息1,000

今期受け取るはずの収益が、まだ受け取れていない状態です。
今期分は、3ヵ月分であるため、
  ¥100,000×4%×3/12 = 1,000  です。
受取利息¥1,000が当期分の収益であり貸方計上します。
そして、実際には受け取っていないけど、翌期に受け取る権利があるため、未収収益として借方に計上します。資産科目です。



例題5の続きです。

例題 5

令和2年4月1日、翌期首未収収益残高の勘定を再振替する。


勘定科目

未収収益、受取利息



解答
借方   金額貸方   金額
受取利息1,000未収収益45,000

翌期首に、収益を見越した受取利息を打ち消し、未収収益も打ち消す再振替を行います。
簡単に言うと、翌期からみると、例題4と5の仕訳は期が変わっているため、関係なくなります。

最後に

 如何でしょうか。これで、費用の未払い・前払い、そして収益の未収、前受が終わりました。
もう一度確認すると、以下の性質があります。
前払費用・・・資産
前受収益・・・負債
未払費用・・・負債
未収収益・・・資産


不安な方は再度、日を置いてから、例題を解いて確認してみて下さい。

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