貸倒の会計処理① / Chapter5 その他処理

今回の内容は、将来現金を回収する権利である売掛金や受取手形といった債権が、回収不能となった場合どのような仕訳となるのかを学習します。

そもそも貸倒れとは、どうして起きるのかを簡単に説明すると、会社の倒産によって発生します。取引先に商品を販売し、代金の代わりに売掛金を受け取っていたた後に、取引先が倒産し売掛金が回収できなくなったといった感じです。

これが貸倒です。

この貸倒れは、稀に発生するため、予め貸倒を見込んで計上しておくことがあります。これを貸倒引当金と呼び、資産のマイナスを示します。(従って、貸方に計上)


(重要)つまり、貸倒引当金は翌期の貸倒を見積もり設定します。

基本的に、貸倒れが発生すると、前の時に積み立てた貸倒引当金を取り崩して、会計処理をしていくのですが、貸倒引当金が無い場合があります。

その時は、引当金がありませんから、損失として処理する必要があり、貸倒損失勘定で仕訳を行います。損失ですから、費用であり、借方に仕訳をします。

貸倒引当金の設定

貸倒引当金を設定する場合、当然引当金を設定した分費用が発生します。
この時に、貸倒引当金繰入という勘定科目を用いて費用を計上し、貸倒引当金を設定します。

この逆の仕訳もあります。決算日に、貸倒引当金が既に¥10,000ある時に、売掛金と受取手形の貸倒引当金を見積もった時に、引当金は¥8,000となった場合です。

この時、引当金は過分にありますので、引当金を取り崩す仕訳を行いますが、その時に用いられる勘定は貸倒引当金戻入です。戻します。

今回は、貸倒引当金を設定し、その後貸倒となった場合の仕訳と、貸倒引当金が無い場合に貸倒れた場合の例題から確認していきましょう。

貸倒引当金の仕訳

例題

本日決算日。当社は、売掛金¥10,000に対し、1%の貸倒れを見積もる。この時、貸倒引当金はゼロであった。

勘定科目

貸倒引当金繰入、貸倒引当金

解答
借方   金額貸方   金額
貸倒引当金繰入100貸倒引当金100

貸倒引当金繰入は費用で計上するため、借方に仕訳を行います。
将来のお金を支払う義務と似た性質である引当金は貸方に仕訳を行います。
¥10,000に対し、1%であるため、¥100です。




貸倒の仕訳(引当金がある場合)

次に、貸倒を見ていきましょう。

例題

取引先の当社に対する前期からの売掛金¥80が貸倒となった。
尚、貸倒引当金残高は¥100である。

勘定科目

貸倒引当金、売掛金

解答
借方   金額貸方   金額
貸倒引当金80売掛金80

貸倒引当金を取り崩すため借方に仕訳を行います。(負債の減少)
そして、売掛金が回収不能となったため、資産である売掛金の減少であることから、貸方に仕訳を行います。

貸倒の仕訳(貸倒引当金が無い場合)

引当金がない場合の仕訳も要チェックです。

例題

取引先の当社に対する前期からの売掛金¥80が貸倒となった。
尚、貸倒引当金残高はゼロである。

勘定科目

貸倒損失、売掛金

解答
借方   金額貸方   金額
貸倒損失80売掛金80

貸倒引当金が無いため、損失です。従って、貸倒損失を借方に仕訳を行います。(費用の発生)
そして、売掛金が回収不能となったため、資産である売掛金の減少であることから、貸方に仕訳を行います。



最後に

貸倒の仕訳は、基本的に今回の様な流れとなります。また、別の状況の場合の仕訳は次の記事で解説しますので、是非読んで頂きたいと思います。
例えば、引当金を設定して、一つの会社が倒産し、処理した後に、もう一社貸倒れた場合の仕訳は・・・。といった内容です。

しかし、今回の貸倒の仕訳が理解できていれば、問題ありません。
更に問題に挑戦してみたい方は、以下のボタンより、仕訳問題に取り組んでみて下さい。まだ、習っていない部分は無視して構いません。

簿記3級講座のまとめは、こちらよりどうぞ。

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