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取り上げる本について
出版社:東洋経済
タイトル:LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略
著者:リンダ・グラットン / アンドリュー・スコット
読者ターゲット読者 ※私見です
・若い世代
・将来に漠然とした不安を持っている人
超要約
過去の生き方(3つのステージ)
●このモデルには限界がある。
●長寿化に対応できていない。 ※年金や少子高齢化の問題など
これからの生き方(マルチステージ)
●状況に応じ、ステージを変える柔軟性が求められる。
●自分の価値観と常に向き合うことが必要。
→長寿化が自分にとって恩恵をもたらすためにどういった戦略があるかを考えさせてくれる。答えを一つ挙げるとするならば、どれだけ主体的に生きれるかが重要。
今後自分がどのステージに行きたいのか、そのために現状のステージでいることが正しいのか、常に考え行動していくことが重要となる。つまりは、主体的に生きていくことだと言えます。
各章毎の要約・感想
本書は全10章で構成させています。それぞれの章の感想は以下の通りです。
第1章
人生のステージが昔の3ステージモデル(教育、仕事、引退)から、マルチステージに移行しつつあることを訴えている。長寿が好機としたい読者へ向けた本であることが語られている。
第2章
寿命が伸び、更にその中でも健康寿命が増えている事は朗報。寿命の統計は2種類ある事は知らなかった。
①ピリオド寿命・・・5歳の人が今からの寿命は50年後の55歳となっても変わらないとして考える。
②コーホート寿命・・・5歳の人が50年後の寿命は、更に55歳となると平均寿命は伸びると考える。(医療の発達や生活習慣の改善)
第3章
人口知能やロボットに対し、何が人間は優位であるかを考えて、これからの人生を歩んでいくことが必要である。現時点では、想像であったり共感がそれに値すると思われる。いずれにせよ、臨機応変に自身に投資し考え続けなければ、自身の価値は小さくなっていく。
第4章
有形資産(建物等)と無形資産(交友資産、スキル等)において、マルチステージを自身にとって良いものにするためには、後者が必要不可欠である。特に学生を終えたら、新たな知識やコミュニティを築くことをしない人は注意が必要。又、自己省察の力がその助けになる。
第5章
教育→仕事→引退 のモデルでは、今後の長寿化に対応できない。その事に早く気づき、レクリエーション(娯楽)をリクリエーション(創造)の時間として、日々の時間を投資できなければ、予測負荷の未来に対応できない。このことが3人のストーリーベースで知ることが出来る。
第6章
5章の続きで、将来の働き方について、3つの方法を提案し、それぞれの利点・欠点を語っている。私が興味を持ったのは、ポートフォリオ型の働き方で、有給の仕事、ボランティア等を日々の生活に取り入れ、全体でみてバランスの良い生き方をするといったもの。
第7章
お金を稼ぐや貯めるといった事を、同時並行に進め金融リテラシーを高めることが必要。又、お金を上手く貯めるために、"現状維持バイアス"を活用し、定期預金に毎月一定額を預ける仕組みを最初に運用すると、その状態を維持し、勝手に貯まる。
第8章
長寿化に伴い、人生の時間が増えた。そして、産業革命の時と比べて、一日の自由時間が増えているらしい。この空いた自由時間をどのように過ごすか、リクリエーションとして活用できるかが、100年時代を生き抜くために必要な戦略であろう。
第9章
これからの働き方とくらしのことについて、様々な角度から提案・考察がなされている。未来の事は誰もわからないが、自身の力では想像できない部分を知ることができたので為になった。
終章
最後に、個人・企業・政府の立場毎に課題を提示している。結論は、世の中の制度、環境は急激には変わらないことを受け入れる事。そして、長寿化を恩恵のあるものとするために、主体的に自身の人生を生きていくということである。そのような人が増えていくと、やがて昔ながらの3ステージモデルが減り、マルチステージの人生が当たり前になっていくだろう。
感想
本書は、過去・現在・未来の働き方を実例を交えながら、これからの人生をどのように生きていくか、その選択肢であったり取り得える手段を提示している本であると感じました。
大学を卒業したら企業に就職し、その会社で定年まで働き、その後は年金をもらい余生を過ごすといった生き方に一石を投じつつも、なぜその人生がこれから実現できなくなってきているかを、データを基に解説しています。ただ将来に漠然とした不安を持つのではなく、今までに蓄積されたデータから現状を分析し、これからの生き方としてはこういったモデルがあるのではないかと提案している本書は、私自身参考になりました。そして何よりも、その働き方に備えるために着々と準備していこうといった、今までの価値観に+αできたことが良かったと思います。