電子記録債権・債務は2019年より簿記3級の出題範囲となった、債権・債務の内容です。
字のごとく、電子(データ)で情報を取り扱うため、ペーパーレスで手形と異なり印紙の添付がないことから、印紙税がかからないといったメリットがあります。
現代社会において、電子記録債権または債務は性質としては約束手形と同じですが、ペーパーレスによる利便さから広まっていくことでしょう。
また、いづれにしても"債権"と"債務"であることから、代金を支払う側と受け取る側で勘定科目が異なる点はご理解頂けると思います。
電子記録債権・・・売上代金を電子的に記録する約束手形
電子記録債務・・・仕入代金を電子的に記録する約束手形
そして、この電子記録債権・債務は他人に譲渡することが可能となっています。
頭の片隅に覚えておいてください。(2級の範囲)
それでは、例題より電子記録債権・債務を見ていきましょう。
Contents
電子記録債権の仕訳
先ずは、売上代金を電子的に記録し、回収していくことから見ていきましょう。
(電子記録債権の発生)
得意先から売上代金として受け取った売掛金¥3,000について、取引銀行を通して、電子記録債権としての発生記録を行った。
売掛金、電子記録債権
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
電子記録債権 | 3,000 | 売掛金 | 3,000 |
電子記録債権は将来お金を受け取る権利であり、資産です。
従って、資産の増加は借方に仕訳をします。
そして、資産である売掛金が減少するため、売掛金は貸方に仕訳をします。
次に、電子記録債権が消滅する仕訳(債権を行使でき、現金を受け取る)を見ていきましょう。
電子記録債権¥3,000の支払い期日となり、代金として普通預金に振り込まれた。
普通預金、電子記録債権
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 | 3,000 | 電子記録債権 | 3,000 |
電子記録債権という資産が減少するため、貸方に仕訳を行い、
普通預金という資産が増加するため、借方に普通預金を仕訳します。
電子記録債務の仕訳
次に、自分が商品等の購入の際に支払った買掛金を、電子記録債務に振り替え、支払うまでの仕訳を見ていきましょう。
得意先から仕入代金として支払った買掛金¥5,000について、取引銀行を通して電子記録債務としての発生記録が行われた。
買掛金、電子記録債務
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 5,000 | 電子記録債務 | 5,000 |
電子記録債務は将来お金を支払う義務を負った負債です。
従って、負債の増加は貸方に仕訳をします。
そして、負債である買掛金が減少するため、買掛金は借方に仕訳をします。
次に、電子記録債務が消滅する仕訳(現金を支払い、債務を取り消す)を見ていきましょう。
電子記録債務¥5,000の支払い期日となり、小切手を振り出し支払った。
当座預金、電子記録債務
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
電子記録債務 | 5,000 | 当座預金 | 5,000 |
電子記録債務という負債が減少するため、借方に仕訳を行い、
当座預金という資産が減少するため、貸方に当座預金を仕訳します。
最後に
電子記録債権・債務は約束手形を学習済みの方は割と簡単に感じたのではないでしょうか? もっと問題を解いてみたいという方は、以下のボタンより、電子記録債権・債務の問題にトライしてみてください。
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