会社の決算に際し、財務諸表を作成するために、各種取引を仕訳を行いますが、日々の少額の支払いに対して逐一仕訳を行っていては大変です。そのため、少額の支払いでは、別の用度係(小口係)が処理するといった定額資産前渡制度(インプレスト・システム)が採用されていることがあります。この用度係に現金を一定額預け、多種雑多な少額の支払いを一定に引き受けます。この時に用度係に預ける現金を小口現金勘定として処理します。この確認をしていきましょう。
次の各取引を仕訳しなさい。尚、勘定科目は次の中から最も適当なものを選び解答すること。
現金 普通預金 小口現金 通信費 旅費交通費
水道光熱費 雑費 広告宣伝費 消耗品費
(1)当社では定額資産前渡制度を導入することにし、小口係に一週間分の小口資金¥70,000の小切手を渡した。
(2)小口係より、一週間の報告を以下の通り受けた。
・水道光熱費 ¥25,000
・通信費 ¥10,000
・雑費 ¥5,000
・広告宣伝費 ¥20,000
(3)小口係に、小口資金補給のため、小切手を渡した。
(4)小口係より、以下の支払い報告を受け、ただちに小切手を振り出し、小口資金の補給を行った。
・旅費交通費 ¥30,000
・消耗品費 ¥35,000
解答
番号 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
---|---|---|---|---|---|
(1) | 小口現金 | 70,000 | 当座預金 | 70,000 | |
(2) | 水道光熱費 通信費 雑費 宣伝広告費 | 25,000 10,000 5,000 20,000 | 小口現金 | 60,000 | |
(3) | 小口現金 | 60,000 | 当座預金 | 60,000 | |
(4) | 旅費交通費 消耗品費 | 30,000 35,000 | 当座預金 | 65,000 | |
(4)' | 小口現金 旅費交通費 消耗品費 | 65,000 30,000 35,000 | 小口現金 当座預金 | 65,000 65,000 |
解説
(1),(3)の仕訳について
小口現金の資産が増加し、当社の小切手を振り出していることから、当座預金が減少します。従って、借方に小口現金、貸方に当座預金です。
(2)の仕訳について
小口係が支払った会計を処理(整理)するため、小口現金を減らし、各種費用を計上します。従って、借方に各種費用、貸方に小口現金です。
(4)の仕訳について
問題文より、支払いと補給を同時に行っています。一つ一つ丁寧に解答すると、(4)'の解答となっています(補給と支払いをしっかり記入する)。(4)の解答は、小口現金の補給と減少が同額・同時であることから相殺して仕訳を行っています。どちらでも解答は正解です。しかし、もし問題文の勘定科目に小口現金勘定が無い場合は、相殺仕訳で解答しなければなりません。