簿記3級仕訳問題 / 小口現金について

 会社の決算に際し、財務諸表を作成するために、各種取引を仕訳を行いますが、日々の少額の支払いに対して逐一仕訳を行っていては大変です。そのため、少額の支払いでは、別の用度係(小口係)が処理するといった定額資産前渡制度(インプレスト・システム)が採用されていることがあります。この用度係に現金を一定額預け、多種雑多な少額の支払いを一定に引き受けます。この時に用度係に預ける現金を小口現金勘定として処理します。この確認をしていきましょう。

次の各取引を仕訳しなさい。尚、勘定科目は次の中から最も適当なものを選び解答すること。

 現金  普通預金  小口現金  通信費  旅費交通費
 水道光熱費  雑費  広告宣伝費  消耗品費

(1)当社では定額資産前渡制度を導入することにし、小口係に一週間分の小口資金¥70,000の小切手を渡した。
(2)小口係より、一週間の報告を以下の通り受けた。
 ・水道光熱費 ¥25,000
 ・通信費  ¥10,000
 ・雑費  ¥5,000
 ・広告宣伝費  ¥20,000
(3)小口係に、小口資金補給のため、小切手を渡した。
(4)小口係より、以下の支払い報告を受け、ただちに小切手を振り出し、小口資金の補給を行った。
 ・旅費交通費 ¥30,000
 ・消耗品費  ¥35,000

解答

番号借方金額 貸方金額
(1)小口現金70,000当座預金70,000
(2)水道光熱費
通信費
雑費
宣伝広告費
25,000
10,000
5,000
20,000
小口現金60,000
(3)小口現金60,000当座預金60,000
(4)旅費交通費
消耗品費
30,000
35,000
当座預金65,000
(4)'小口現金
旅費交通費
消耗品費
65,000
30,000
35,000
小口現金
当座預金
65,000
65,000
(4)の解答は(4)'でも可

 解説
(1),(3)の仕訳について
 小口現金の資産が増加し、当社の小切手を振り出していることから、当座預金が減少します。従って、借方に小口現金、貸方に当座預金です。
(2)の仕訳について
 小口係が支払った会計を処理(整理)するため、小口現金を減らし、各種費用を計上します。従って、借方に各種費用、貸方に小口現金です。
(4)の仕訳について
 問題文より、支払いと補給を同時に行っています。一つ一つ丁寧に解答すると、(4)'の解答となっています(補給と支払いをしっかり記入する)。(4)の解答は、小口現金の補給と減少が同額・同時であることから相殺して仕訳を行っています。どちらでも解答は正解です。しかし、もし問題文の勘定科目に小口現金勘定が無い場合は、相殺仕訳で解答しなければなりません。

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