簿記3級仕訳問題 / 貸倒引当金について

①貸倒引当金 (基礎問題)

次の各取引を仕訳しなさい。尚、勘定科目は次の中から適当なものを選び解答すること。

 現金  当座預金  買掛金  売掛金  貸倒引当金  
 貸倒引当金繰入  貸倒引当金戻入  貸倒損失  

(1)令和2年の決算において、期末売掛金残高¥500,000に対し1%の貸倒れを見積もる。尚、今期の期末決算時点で貸倒引当金勘定の残高はない。
(2)令和3年の期中において、得意先Xに対する前期からの売掛金¥1,000が貸倒れとなった。尚、貸倒引当金は(1)で仕訳を行った後の残高から変わっていない。
(3)令和3年の期中において、得意先Yに対する前期からの売掛金¥10,000が貸倒れとなった。尚、貸倒引当金勘定の残高が¥4,000ある。
(4)令和3年の決算において、期末売掛金残高¥600,000に対し1%の貸倒れを見積もる。尚、今期の期末決算時点で貸倒引当金勘定の残高はない。
(5)令和4年の決算において、期末売掛金残高¥300,000に対し1%の貸倒れを見積もった。尚、今期の期末決算時点で貸倒引当金勘定の残高は(4)の仕訳で設定した引当金残高から増減していない。

①解答

番号借方金額 貸方金額
(1)貸倒引当金繰入5,000貸倒引当金5,000
(2)貸倒引当金1,000売掛金1,000
(3)貸倒引当金
貸倒損失
4,000
6,000
売掛金10,000
(4)貸倒引当金繰入6,000貸倒引当金6,000
(5)貸倒引当金3,000貸倒引当金戻入3,000

 解説
(1)の仕訳について
 ¥500,000の1%の貸倒れを見積もると、¥5,000となります。貸倒倒引当金繰入を借方に、貸倒引当金を¥5,000貸方に会計処理します。
(2)の仕訳について
 前期に設定した貸倒れとして見込んだ額以下であるため、貸倒引当金を減額(借方に仕訳)を行い、売掛金を減額(貸方)処理します。
(3)の仕訳について
 (2)との仕訳の違いは、前期に設定している貸倒引当金以上の貸倒れとなっている点です。足りない分は、貸倒損失として処理します。
今回は残高¥4,000に対し、貸倒れ額は¥10,000であるため、¥6,000を貸倒損失として会計処理します。
(5)の仕訳について
 貸倒引当金を設定する額よりも、引当金残高が多い場合の仕訳です。
引当金残高が¥6,000あり、今回見積もった引当金設定額は¥3,000であるため、引当金設定額から残高を差し引き、
 ¥3,000-¥6,000=-3,000
となります。つまり、マイナスであるため¥3,000だけ貸倒引当金を減らし、この分を戻し入れる仕訳を行います。(※因みに、貸倒引当金戻入は収益です。)

復習用にテキストベースで確認したい方は以下を参照してください。

②貸倒引当金 (発展問題)

次の各取引を仕訳しなさい。尚、勘定科目は次の中から最も適当なものを選び解答すること。

 現金  当座預金  売掛金  買掛金  仕入  売上  貸倒引当金繰入
 貸倒引当金戻入  貸倒引当金  償却債権取立益  貸倒損失

(1)前期に貸倒れとして処理していたQ社の売掛金¥200,000のうち¥150,000を現金で回収した。
(2)得意先のR社が突然倒産した。同社に対する前期からの売掛金¥500,000が全額回収不能となったので、貸倒れとして処理した。この時、貸倒引当金勘定の残高が¥300,000あった。
(3)S社が倒産し、同社に対する売掛金¥200,000が貸倒れとなった。尚、¥50,000は前期からのものである。この時、貸倒引当金勘定の残高は¥300,000であった。


②解答

番号借方金額 貸方金額
(1)現金150,000償却債権取立益150,000
(2)貸倒引当金
貸倒損失
300,000
200,000
売掛金500,000
(3)貸倒引当金
貸倒損失
50,000
150,000
売掛金200,000

 解説
(1)の仕訳について
 過年度の貸倒れ債権を回収しているため、償却債権取立益勘定で会計処理を行います。
(2)の仕訳について
 前期の債権に対する貸倒れであるため、貸倒引当金と足りない分を貸倒損失勘定で仕訳します。
(3)の仕訳について
 貸倒れ債権は¥200,000でありますが、¥50,000が前期のものであり、残り¥150,000は当期の貸倒れであるため、引当金残高が十分にあったとしても、¥50,000を貸倒引当金として仕訳、¥150,000を貸倒損失として仕訳します。
ポイント当期の貸倒れ債権は、貸倒損失として仕訳する。

テキストベースで復習したい方は、以下を参照してください。

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